「レッド・サン」
三船敏郎。チャールズ・ブロンソン。アラン・ドロンと言う世界三代スター夢の共演が話題のアメリカ西部劇。監督はかの007シリーズのテレンス・ヤング。音楽はかのモーリス・ジャールだ!
コレ見ると後にアメリカはテレビシリーズ「将軍」や最近の「ラスト・サムライ」に通ずる「如何に日本のサムライが好きか」ってことが最初に表出された映画だったよね。如何に欧米の人がクロサワ時代劇とか見て侍=ミフネのカッコ良さに魅せられていたのかが分かる。
どうしても西部劇の風景に馬に乗ったサムライを登場させてガンマンと絡ませたかったんだろうなぁ。江戸時代に親善大使として渡米した武士もいたらしいから〜まんざらあり得ない設定でもないらしい。だからこのシチュエーションで最大の目玉はやはり西部に渡って来た侍ミフネなのだ。
ブロンソンやドロンを向こうに回し一歩も引けを取らないこの堂々たる我等がミフネのサムライ振りはどうだ! 世界三大スター競演と言っても、ここではやはり転校生的なミフネの存在が最大の魅力だ。アメリカ映画の西部の風景に着物姿のミフネがいるだけで鮮烈でした。
ストーリーはドロンたち一味に宝刀を盗まれたミフネと、捕まえた強盗の一人ブロンソンとの、宝刀を盗んだドロンを追いかけて行く道中が主軸となる。途中でミフネ持参のオニギリを食べたり、ミフネの口癖「武士の情けだ」をブロンソンが覚えたり、そうこうするうちに友情が芽生える展開が楽しかったですね。
けれど、この結末にはやはりアメリカが作った作品だからしょうがないか……の不満が残る。逆の立場の「ラスト・サムライ」でもやっぱ最後は美味しいところをトム・クルーズが持ってっちゃうもんねぇ。
コレ見てて思ったんだけど、親善大使だから生真面目と言うのも分かるけど、ミフネがそのまま黒澤三十郎キャラで出て来てたらどうだったんだろうなと。ドロンもブロンソンもぶった斬って「あばよ」って去ってったら国民栄誉賞だったかも。ってか三十郎はアメリカなんか行かねぇか(笑)。
結果的に本作で一番良い役回りだったのはブロンソンでしたね。フランスのドロンと日本のミフネの間に立って美味しいところを持って行きました。アクション等に突っ込みどころもありますけど、コレは楽しい好きな映画ですねぇ。